動脈圧

動脈圧が低いととにかく心配になる、多くの麻酔科医に共通する感情でしょうか。

 

確かに動脈圧が低いと、冠血流やその他臓器血流に懸念があるだろうし、圧を保つことでいい管理をしていると思いたくなるだろう。

 

ところが、圧が正常値だからといって、十分な流量(Stroke volumeやCardiac output)があることを何ら保証してくれない。

むしろ圧が維持されているように見えても、心臓が対応できない後負荷のために流量が保てていない可能性もある。

 

心臓はエネルギーを産生し血液を全身に送り出している。そのエネルギーを伝搬しながら血液を伝えていくのが血管で、血管からの反射波がまた心臓に帰ってくる。心臓と血管は切り離せず、VA couplingの意味するところである。

 

この意味を考慮すれば、何でもかんでもフェニレフリン、ノルアドレナリン持続投与をしようとは思わないはずである。