CPB離脱とカテコラミン

人工心肺離脱の際、カテコラミンを使う麻酔科医が多いことと思う。

私が見てきた人の多くは「とりあえず始めて、心臓の収縮がよくなったら減量。」というスタンス。

果たして、それは本当に必要だろうか?

 

β受容体刺激によってcAMPが上昇し、筋小胞体からCa2+遊離を促進することで心筋収縮力が増強する。同時にcAMPはトロポニンCへのCa2+の結合率を低下させてしまう。またCa2+レベルの過剰は心筋障害的に作用する。

PDEⅢ阻害薬はβ受容体を介さないものの結果としてCa2+レベル上昇による収縮性上昇をもたらすため、同じ結果となりうる。

事実、強心薬の使用は予後を悪化させることはあっても良くするという結果は見いだせていない。

 

術前のリモデリングの評価が重要であり、個々の症例で判断は変わるが、「必要時にに使用し、状況が良くなれば漸減、中止する」というのが重要ではないだろうか?

もちろん心臓外科手術では、術前の心不全状態、心筋保護液使用、CPB使用による反応などの要素も加わるため、やむを得ず使用しなければならない状況も出てくる。

 

一概に答えは出せないが、いかにWall stressを意識しながら収縮性を評価できているか。そして臓器循環に十分なOutputを出せているか。心臓エネルギーの観点から効率性まで意識できれば理想だろうと思われる。

 

臨床的にはエコーによって形態を、カテーテルなどによって圧を評価し判断する。1点だけで判断するのは容易でなく、トレンドや介入による変化をつぶさに観察する姿勢が重要である。

 

結局答えを出せていないが(笑)

日々の地道な観察が、その判断の習熟をもたらすと信じて、、